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自閉症スペクトラム障害,親子の愛着形成とオキシトシン

No.4775 (2015年10月31日発行) P.57

川西康之 (旭川医科大学健康科学講座地域保健疫学)

西條泰明 (旭川医科大学健康科学講座地域保健疫学教授)

登録日: 2015-10-31

最終更新日: 2016-10-26

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自閉症スペクトラム障害(ASD)は増加傾向とされ,その症状により親はストレスを抱えているが,その症状を改善させる治療法は現在のところ確立されていない。ASD児の血清オキシトシン(OXT)濃度が低いことなどから,その症状改善にOXTの点鼻投与が有効である可能性が予測されており,それを検証するランダム化比較試験が行われている。
一方で,内的なOXTを増加させる方法も模索されており,その1つに親子のスキンシップがある(文献1)。スキンシップは親子の愛着形成に重要な役割があり,そのメカニズムもOXT神経系を中心とした研究によって明らかになりつつある(文献2)。
スキンシップが親子の愛着形成に影響を与えることは知られているが,ASDを含めた発達障害の発症に対し予防的に作用するか否かは明らかとなっていない。筆者らは,環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」という,出生コホート研究における北海道の参加者を対象に,追加でスキンシップ頻度に関する調査を行い,その後の児の発達障害発症との関連を明らかにすることを計画している。ASDを含めた発達障害に対し,今後有効な治療法が確立されることが期待される。

【文献】


1) Feldman R, et al:Br J Psychiatry. 2014;205(2):107-12.
2) Nagasawa M, et al:Front Hum Neurosci. 2012;6:31.

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