2014年製作、同11月より劇場公開。神山征二郎監督作品。原作は筆者のエッセイ集『心配ご無用─手術室には守護神がいる』(パコスジャパン、2012年刊)。主題歌は小田和正作詞・作曲の『その日が来るまで』。
(DVD:AMGエンタテインメント、2014年発売)
2011年3月11日、東北地方はマグニチュード9.0という未曾有の巨大地震に襲われた。我々の病院は、その激震の中心地となった仙台市にあり、甚大な被害を被った。4年余経った今も多くの人々が、表面上は明るく振る舞っていても、身も心も傷つき将来への深い不安感を抱いている。地域医療もようやく動き出した感はあるが、医師不足や、近隣に医療施設がなく交通手段もないため、満足な治療が受けられないという実情が浮かび上がっている。
しかし、あの日以前の東北の人々が皆、豊かで満たされていたかというと、決してそうではない。過疎化や高齢化の波は既に襲いかかっており、懸案の地域医療の脆弱化の立て直しは一向に解決の兆しが見えないままであった。さらに、日本各地域でも医師不足は慢性的に続き、小規模病院や地方の病院では麻酔科医不足が顕在化して久しい。
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