詩人・長田 弘は1939年福島市生まれ。60年早稲田大学在学中に詩誌「鳥」を創刊。65年処女詩集『われら新鮮な旅人』を発刊、代表作はロングセラーとなった『深呼吸の必要』。2014年『奇跡─ミラクル─』で毎日芸術賞受賞(長田 弘 著、みすず書房、2015年刊)
『長田弘全詩集』は本年(2015年)4月に出版された。著者の長田 弘は直後の5月3日に亡くなっており、まさに、この一冊を仕上げるために彼は生を全うした。とうとう人間の存在の有り様を紡ぎあげた至言の贈り物を完成させて、彼は去っていった。この本には、『われら新鮮な旅人』から『奇跡─ミラクル─』までの彼の50年間にわたる18冊の詩集が収められている。
「死は言葉を喪うことではない。沈黙という
まったき言葉で話せるようになる、ということだ。」(『小さな神』)
「理解されるために、ことばを使うな。
理解するために、ことばを使え。」(『サルビアを焚く』)
「ひと知れぬもの。
自然とは異なったしかたで
人間は、存在するものではないのだ。
どんなだろうと、人生を受け入れる。
そのひと知れぬ掟が、人生のすべてだ。」(『わたし(たち)にとって大切なもの』)
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