日本再生医療学会と三井住友海上火災保険は21日に会見を開き、再生医療の治療で生じた健康被害を対象とした新たな補償制度を11月に創設すると発表した。
再生医療等安全性確保法(2014年11月施行)では、再生医療で健康被害が生じた場合、臨床研究では患者・ドナー双方に対する補償義務が規定されており、対応する補償制度も設けられているが、治療ではドナーに対してのみ補償義務の規定があり、患者に対する規定はない。
新たな補償制度は、がん免疫細胞療法など、自由診療として実施される治療を受けた患者・ドナー双方の補償に対応。保険には、再生医療学会員の医師・医療機関が学会に加入を申し込み、同学会が三井住友海上と団体契約を締結。健康被害が生じた際には同社から医療機関に保険金が支払われ、医療機関が補償金を支払う形となる。保険金は医師・医療機関の損害賠償責任が明確でない場合でも支払われる。補償の上限額はドナー死亡で4000万円、後遺症で2200万円。患者死亡で300万円、後遺症で480万円。
同学会の澤芳樹理事長(写真)は会見で、「医療行為との因果関係が明確でない有害事象も補償することで、より安全な再生医療を提供できる」と述べた。