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厚労省検討チームが再発防止策の議論開始 - 措置入院のあり方見直し焦点に [障害者施設殺傷事件]

No.4817 (2016年08月20日発行) P.10

登録日: 2016-08-20

最終更新日: 2016-10-30

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【概要】相模原市の障害者施設で発生した殺傷事件を受け、厚生労働省の再発防止に向けた検討チームが10日、初会合を開いた。容疑者が犯行に至るまでの経緯を整理した上で、福祉施設の防犯対策や措置入院のあり方を検討し、秋頃にとりまとめる。


検討チームの座長は、元施設職員・植松聖容疑者が措置入院(用語解説)していた病院への立入検査に同行した、山本輝之成城大法学部教授。検討チームには、植松容疑者を診察した医師へのヒアリングや、実際のカルテに基づく評価を行うなどして、診療内容をある程度把握している精神保健指定医4名も参加する。
会合の冒頭、塩崎恭久厚労相は検討チームの役割について、「あらゆる事実関係を整理した上で、現行制度下で何をしていれば事件を防ぎえたのか検証する。さらに、より確実に防ぐためには、いかなる新たな政策・制度が必要で、いかなる社会の実現が必要なのか、叡智を集めて議論したい」と述べた。
再発防止に当たっての主な論点は、(1)福祉施設の防犯対策、(2)措置入院の手続き、(3)退院(措置解除)後の継続的な医療のあり方、④警察等との情報共有のあり方─の4つで、措置入院前後の対応が最大の焦点となる。
会合は非公開で行われたが、厚労省によると、構成員からは、容疑者から薬物反応が検出されたことを踏まえ、「薬物の影響を含めた検証が必要」との意見が出ているという。また、容疑者が措置入院を要する「精神疾患」に該当する症状を呈していたのかについても、議論の必要性が指摘されたという。

●増える入院患者数、減る平均在院日数
厚労省によると、措置入院患者数は中長期的には増加傾向で、2013年には6767人となっており、警察からの通報を契機とした入院が8割を占める。一方、平均在院日数は、2004年の174.7日から2013年の87.5日までほぼ半減している。平均在院日数の短縮について、同省は「精神障害者の地域移行」の影響があるとみているが、患者数増加の要因は分かっていないという。
措置入院の見直しについて、同省は「他害行為を起こしていない状況で行政の判断で入院させるという手続き上、冷静な議論が必要。予断なく幅広い議論を行いたい」としている。
また、塩崎厚労相は15日の閣議後会見で、「精神障害者の地域移行という大きな流れにまったく変更はない」と述べ、再発防止策を障害者の“隔離”につなげないことを強調した。

●用語解説
【措置入院】
精神疾患のために「自傷他害の恐れ」の高い患者を行政の命令で強制入院させる措置。精神保健福祉法に規定。入院には精神保健指定医2名以上の診察が必要。症状消退を指定医が確認すれば退院(措置解除)となり、通院、任意入院、医療保護入院などに切り替わる。

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