Werner Spalteholz(1861〜1940)はドイツ・ライプツィッヒ大学医学部解剖学教室教授〔Werner Spalteholz著、Verlag S. Hirzel(Leipzeg), 1929年刊〕
私の一冊は、解剖学書スパルテホルツ著『人体解剖アトラス』(以下『スパルテホルツ』)である。
終戦後の1951年4月、解剖学の書を求め、夜行列車に揺られ上京した。とある神田の古書店の書架に並ぶ『スパルテホルツ』全3巻が目に入った。その装丁、人体構造の緻密な描出、色調そして解説の文言に魅せられ購入することにした。
学生時代には系統解剖学の講義に、また、屍体解剖時には大いに活用し、基礎医学を学んだ。
卒業後、外科学教室の門戸を叩いた。外科医としての初めての手術(アッペ)をはじめ、その後も多くの手術で局所の解剖知識が要求され、そのつど課題を解決してくれたのがこの“視る解剖”の書『スパルテホルツ』だった。
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