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それでも抗凝固療法を行うために [プラタナス]

No.4833 (2016年12月10日発行) P.1

築島直紀 (健和会大手町病院副院長)

登録日: 2016-12-09

最終更新日: 2016-12-05

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  • 心房細動の抗血栓療法が、ワルファリンでもアスピリンでも良かった頃の話である。もちろん、DOACs(direct oral anticoagrants)はなかった。元気な70歳代の男性で、慢性心房細動をワルファリンで治療していた。PT-INRのコントロールも至適域(直近の半年間で、1.58~2.08)、TTR(time in therapeutic range)は80%超であった。ある日、突然の意識障害と左片麻痺でER搬入となり、頭部CTで巨大な脳内血腫を認め、脳外科による緊急開頭・血腫除去術が行われた(PT-INRは1.83)。大きな脳出血であった。

    抗凝固療法を積極的に行う上で、避けられないのは出血性合併症である。慢性心房細動に対する抗凝固療法は、脳塞栓症を有意(おそらく半分以下)に減らし、少しだけ脳出血を増やす。しかし、この経験で私はとても凹んでしまい、しばらくの間は抗凝固療法を前向きに行うモチベーションが湧かなかった。

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