日本医師会の横倉義武会長(写真)は12月21日の会見で、2017年度予算編成において、高齢化等に伴う社会保障費の「自然増」が5000億円程度に収まったことについて、「17年度の自然増が大きいと、18年度の診療報酬・介護報酬の同時改定で必要財源が確保できなくなる恐れがあったが、これで18年度への『削減の積み残し』はなくなった」と述べた。
この発言は、2016~18年度までの3年間で自然増を計1兆5000億円(年5000億円)程度とするよう求める財務省の「目安」を達成したことを受けたもの。横倉会長は「18年度も5000億円分の伸びは確保されたと思う」とし、同時改定に向け、政府にさらなる財源の上乗せを求めていく考えを示した。
今回の予算編成では、高齢者の負担増を柱とする医療保険制度改正が盛り込まれた。横倉会長は「応能負担の考え方が取り入れられたことには一定の評価ができる」とする一方で、高額療養費制度の見直しで、70歳以上の一般区分(年収155万~370万円)の負担限度額が引き上げられたことに関しては「今後、金融資産の保有状況を考慮に入れた負担のあり方を検討するに当たっては、もう少しきめ細やかな対応が必要だ」と述べた。
横倉会長はまた、薬価算定において市場実勢価格の加重平均に加える「R幅」(調整幅)に言及。「近年、医薬品包装は大型化してきており、医療機関・薬局で生じる医薬品のロスも多くなっている。在庫管理に必要な経費を考えると、現行の2%では手当てが十分とは思えない」と問題視した。