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首都ドーナツ圏の医療を担当して[エッセイ]

No.4737 (2015年02月07日発行) P.73

金澤 實 (埼玉医科大学病院病院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-09

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  • 2014年8月をもって埼玉医科大学病院の病院長を拝命した。当院は816床を有する大学病院本院で、入間郡毛呂山町という緑豊かな田園地帯にある。隣接する700床の埼玉医科大学国際医療センターとともに1つのメディカルセンターを形成し、高度先進医療とともに埼玉県西北部の地域医療を担っている。

    両病院はいわゆる首都ドーナツ圏の外縁にある。ドーナツ圏とは耳慣れない言葉だが、おおよそ都心から20km以上50km未満の地域で、2000~2500万人ほどが居住している。一般に公共交通は都心へ向かうものの、横の交通網は不十分である。今年中には圏央道が全面開通するので、その沿線と考えていただきたい。

    ドーナツ圏内は団塊の世代が多いため現在も高齢者の疾患が増加中であり、今後は医療需要が急増するものといえる。一方で、ドーナツ圏共通の現象として、人口当たりの医師数が少なく、医療インフラが不十分で、医療費も低額に留まっている。埼玉県を例とすると、人口10万当たり医師数は154人(47位=全国最下位)、急性期病床は1500床不足、県民1人当たり医療費25.6万円(46位)である。

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