ヒルクレストの続き(写真1・2)。
すべて個室です。食事は1日3回提供され、服薬、入浴・整容・着替え、毎日の掃除のサービス、24時間対応のコールシステム、各種活動プログラムなどがあります。トイレ介助は人力で行わずリフトを使います。インディペンデント・リビングから入居せず、いきなりアシスティド・リビングに入居する人もいますが、その場合は、入居一時金が不要な代わりに、月額利用料は4500ドルに跳ね上がります。
認知症と診断されるとメモリー・ケアに移らなくてはなりません。アシスティド・リビングのサービスに加え、病院受診時の送迎、必要に応じ毎日のシーツ交換も行われます。2人部屋で月額利用料は5000ドルになります。平均入居期間(生存期間)は3年で、日本の同程度の認知症の人に比べ短くなっています。メモリー・ケア入居者は病状が悪化したときにナーシング・ホームに移ることを嫌がります。
この施設の最高経営責任者の父親は、脳腫瘍の手術を受けた後に認知症になり、ここのメモリー・ケアに入居しました。しかし、食べられなくなったら自宅で生涯を閉じることを希望していたので、最後は自宅に戻り、ホスピスサービスを受けて生涯を閉じました。
ところで、ホスピスサービスとは病名にかかわらず医師から6カ月以内の余命が宣告された患者が受けられる医療と介護です。費用は公的保険であるメディケア(65歳以上が対象)あるいはメディケイド(低所得者や身障者が対象)と、私費保険から95%提供されます。残り5%は多くの場合ホスピス団体が負担するので、ほぼ無料で受けられます。症状緩和を目的としているため、延命目的の医療(点滴や経管栄養など)は行いません。2014年は自宅36%、ホスピス施設32%、ナーシング・ホーム15%、居住施設9%、急性期病院9%で、このサービスが提供されました。
残り770文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する