フランコ・ゼフィレッリ監督による1972年の伊・英合作映画。宗教的題材を青春映画として表現している(DVD:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン、2006年発売)
兄である風よ 姉である空の精よ
私の目を開いておくれ 清く正しい心の目を。
大学生の頃見た映画だが、ドノバンが歌う挿入歌以外に覚えていたことは、野の花で埋め尽くされたイタリアの草原の美しさだけ。
20年後、画像解剖学を教える仕事に就き、僧帽筋の名称由来を調べ初めてアッシジのフランチェスコを知った。裕福な放蕩三昧の生活を捨て信仰の道に入った彼と弟子たちが着る、荒縄で腰を結んだだけの貧しいフード付きの僧衣。その帽子を脱ぎ背中に垂らした形に似た筋肉。心臓の僧帽弁は司教が正装時にかぶる権威の象徴ミトラからきた名。これと対極にある“僧帽”。面白いなとは思ったが20年間、それ以上の追求はしなかった。数年前突然気になり、昔の映画を探しだした。初めて見たかのような草原の美しさ。歌の意味、映画の中身が伝わった。時の流れを感じた。
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