日本医師会の今村定臣常任理事は11日の会見で、このほど閣議決定された2018年度税制改正大綱において、日医が新設を要望した医療の設備投資減税措置が「長期検討」とされたことに「残念」と述べる一方で、消費税率10%引上げまでに減税措置の検討が始まる見込みがあると報告した。
消費税率10%への引上げが2019年10月へ延期されたこと受け、2018年度大綱では、医療機関における消費税問題の抜本的解決について結論を得る時期は「消費税率が10%に引き上げられるまで」と記載された。日医は、10%引上げまでの経過措置として、医療機関が設備投資を行った際に所得税・法人税の税額控除や特別償却を認める特例措置の新設を要望したが、18年度大綱では「長期検討」とされ、17年度大綱の記述から据え置かれた。
ただし、今村常任理事によると、「消費税問題の抜本的解決時期に関する文言は、設備投資減税の項目にも適用されることを財務当局などに確認した」といい、設備投資減税措置の検討も10%引上げまでに行われる見通しだ。
2018年度大綱ではこのほか、医療法改正を前提として、認定医療法人制度(用語解説)を拡充し、持分あり医療法人が移行計画に記載された期限までに持分なし医療法人に移行した場合、贈与税を非課税とする措置が新設。相続税・贈与税の納税猶予制度の適用期限も、今年9月末から3年延長することが明記された。これについて今村常任理事は、「医業承継税制の中で贈与税非課税の道を開いたことは、ある程度大きな意義がある」と述べた。
用語解説▶認定医療法人制度
持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行促進策として、2014年10月から3年間限定で始まった税制優遇制度。持分放棄までの期限などを記載した「移行計画」を厚生労働省に提出し、認定を受ければ、認定日から3年以内は相続税・贈与税の納税猶予が受けられる。