小児中耳炎は1歳児に多く発症し,難治例は0歳児に多い
小学1年生までに半数は中耳炎の治療を受ける。治療を受けた中耳炎児の3分の1は単発で繰り返さない。3分の1は難治になる。小学1年生までに難治例を含み95%以上は治癒する
中耳炎は単一ではなく,種々の要因が絡んで発症し,かつ難治になると考えられる。発症・難治化の要因には,改善できるものとできないものがあるが,多くは年長になるにつれ改善されていく
初期治療として,まず抗菌薬が必要かどうかを考慮し,必要な場合はアモキシシリンを第一選択薬とする
2012年と13年に,当地区(愛知県旧西尾市全域)12校の小学1年生1624人の保護者にアンケートによる調査を行った。「今までに中耳炎の治療を受けたことがあるか」という質問に対し,中耳炎の治療を受けた児は49.9%の810人という結果であった。
2005年9月〜10年5月に当院を受診した0〜14歳の中耳炎児3500例(男1787例,女1713例)中,追跡可能だった2750例の初診時年齢を図1に示す。中耳炎発症は1歳児で最も多く,難治例は0歳児に最も多かった。
前述の児810人の保護者にアンケート調査を行い,「何回中耳炎の治療を受けたか」という質問をした結果,1回のみが36.2%の293人,2〜4回が40.6%の329人,5回以上が22.2%の180人,不明が8人であった。当院の中耳炎児で,追跡可能だった治癒している再発・難治例677例の最終罹患回数は5回,ついで6回が多かった。
当院の中耳炎児3500例の臨床経過の結果を図2に示す。
脱落・紹介例を除いた追跡可能2750例中33.8%の930例が中耳炎の罹患が1回のみの単発性中耳炎であった。また,追跡可能2750例中25.9%の713例が難治になり,難治例はt検定により有意水準5%で男児が多かった(男385例,女328例)。観察中の42例を除いた2708例が検討時点で治癒していた。すなわち,中耳炎発症後は長期的にみれば難治例も含め98.5%は治癒していた。
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