DSM-5の研究中の項目でインターネットゲーム障害として診断基準が示された
抑うつ状態,ADHD傾向などをはじめとした精神症状の合併が多く認められる
睡眠の質の低下や日中の眠気が認められることも多い
治療は精神療法・デイケアが主であるが,教育・医療・行政などが協力してインターネット依存問題に取り組むべきである
近年インターネットは急速に普及し,我々の生活に多大な恩恵を与えている。一方で,様々な問題も取り上げられており,その1つにインターネット依存がある。
インターネット依存は端的に述べると,生活上においてインターネット使用の制御が困難となり,問題があるにもかかわらずインターネットを止めることができなくなる状態とされている1)。これまで私的に診断基準がいくつか提唱されたが,特徴として,①過剰使用(しばしば時間の感覚を忘れ,基本的な活動の無視と関連している),②離脱(インターネットができないときの怒り,緊張状態,抑うつ状態を含む),③耐性(より良いコンピュータ設備,ソフトウェア,より多くの時間を必要とすることを含む),④悪影響(口論やうそ,会社の業績悪化,社会的孤立,疲労を含む),の4つの構成要素を持つとされている1)。世界的な診断基準では,2013年5月に発表された米国精神医学会(American Psychiatric Association:APA)の診断基準の改訂(DSM-5)において,正規の診断基準ではないが研究中(conditions for further study)の項目として,インターネット(オンライン)ゲーム障害(internet gaming disorder)が示された(表1)。なお,この診断基準に他のインターネットコンテンツは,研究報告が十分ではないとして含まれていない。
2008年のわが国における調査では一般成人の2.0%にインターネット問題使用の疑い〔Young作成のInternet Addiction Test(IAT)40点以上〕が該当し,全国の成人約270万人と推計されている2)。また,2012~13年の調査では,中高生の男子6.4%,女子9.9%にインターネット依存の疑い(Young作成のDiagnostic Questionnaire 5点以上)が該当し,全国の中高生51万8000人と推計されている3)。おおむね未成年~若年成人の世代にインターネット問題使用・依存者が多いようである。
残り3,918文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する