小児CKDは最終的に末期腎不全に至りうる重篤な疾患であり,早期診断が重要である
小児CKDの診断では腎機能の正確な評価が必要であり,その一助として日本人小児の血清クレアチニン(Cr)の基準値などが確立されてきた
2010年から,日本小児CKD研究グループが,小児CKDの実態調査と前向きコホート研究を行っている
小児慢性腎臓病(小児CKD:chronic kidney disease)は長期にわたって進行し,様々な合併症とともに,最終的に末期腎不全に至りうる非常に重篤な疾患である。しかし,早期に適切な診断を受けることで,末期腎不全への進行抑制が期待できるのみならず,成長障害,心血管系障害や骨ミネラル代謝異常などの重篤な合併症を適切に予防・コントロールすることができる。
本稿では一般的なCKDの診断に加え,近年,日本小児腎臓病学会の小児CKD対策委員会で作成が精力的に進められてきた,小児CKDの診断のための様々な基準値やGFR推算式を紹介する。また,それらの基準値を用いて行われてきた疫学研究の結果も示す。
CKDとは下記の通り定義される1)。
(1)尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らかで,特に蛋白尿の存在が重要
(2)糸球体濾過量(glomerular filtration rate:GFR)<60mL/分/1.73 m2
(3)上記のいずれか,または両方が3カ月以上持続する
そして,重症度はGFRに基づきCKDのstage 1〜5まで分類されている(表1)。成人ではアルブミン尿(蛋白尿)や原疾患によるリスクの細分化がなされているが,本邦のガイドラインでは小児は従来からのGFRによる分類が採用されている1)。
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