中央社会保険医療協議会総会(田辺国昭会長)は2月22日、2018年度次期診療報酬改定に向け、かかりつけ医機能のあり方と評価を巡る議論を開始した。厚生労働省はかかりつけ医機能ついて、外来・入院・在宅といった医療提供の枠組みにとらわれない形で議論を進めていく方針だ。
会合では厚労省が、日本医師会と四病院団体協議会の合同提言「医療提供のあり方」(2013年8月)で示した定義を基に、「かかりつけ医機能のイメージ」を提案。生活習慣病を有する患者の場合では、①日常的な医学管理と重症化予防、②専門医療機関等との連携、③在宅療養支援・介護との連携─の3機能を明示した。
大きな方向性について異論は出なかったが、今後の争点となるのは政府の社会保障制度改革国民会議報告書(13年8月)が求める、かかりつけ医の「緩やかなゲートキーパー機能」(用語解説)の是非を含めたあり方だ。
中川俊男委員(日本医師会)は、日医・四病協合同提言に明示した「かかりつけ医機能」の内容から「一歩も譲らない」と強調するなど、国民会議報告書の提言を議論の前提とする方針に反対した。これを受け厚労省保険局の迫井正深医療課長(写真右から2人目)は、「現在進められている改革の多くはこの報告書をベースにしている」と説明。患者が大病院を選びがちになるなど、現在のフリーアクセスが「医療現場の疲弊を招いている状況がある」と指摘し、かかりつけ医に一定の交通整理的機能を持たせる必要があるとの考えを示した。
かかりつけ医のあり方を巡っては、日医総研が実施した国民の意識調査で、約半数が「幅広く診てもらう」「総合的に診てくれる」ことを求めていることが分かっている。一方、日本では開業医の多くが専門医で、診療側は患者が抱える疾患ごとにかかりつけ医がいて構わない、とのスタンスだ。
こうした状況を踏まえ迫井氏は、英国のように厳格な登録制を推進するつもりはないとした上で、「1人の患者にかかりつけ医が何人もいる状況が、国民の期待に沿っているといえるのか。国民と医療現場の認識にギャップがあるようだ」との見方を示している。
残り421文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する