【質問者】
横尾 隆 東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科教授
(1)骨粗鬆症とは
「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義され,骨強度は70%を骨密度で,30%を骨質で説明できるとされています。確かに,CKD患者の骨強度は,透析患者の骨折率のデータでもわかるように,健常人より低下していることは確かですが,骨密度との関係は,必ずしもきれいには出ないので,骨質の劣化の役割も大きいと考えられます。
(2)CKD患者の骨病変と治療のポイント
骨形成を増やし,骨吸収を抑え,その結果骨密度を増やすということが第一の目標ですが,CKD患者の場合はそう単純ではありません。CKD患者の骨病変には,3つの要素があります。
1つ目は,最近の透析導入時年齢の平均は,65歳を超えていますので,当然加齢に伴う骨粗鬆症は既に存在します。
次は,骨回転に依存する異常です。CKDでは,放置すると二次性副甲状腺機能亢進症が起こり,高回転骨になり,骨密度は減少します。最近では,活性型ビタミンD製剤だけでなく,カルシウム受容体作動薬も使えるようになったので,この管理は以前より容易になっています。一方で,CKD患者では骨の副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)に対する抵抗性があるので,基準値まで抑えると,低回転骨を生じ,現在ではこちらのほうが多くなっています。低回転骨は,骨密度低下に関しては有利ですが,微細骨折の修復遅延や,骨のカルシウム緩衝能の低下などが生じます。
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