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気管腕頭動脈瘻回避のための管理方法と予防的腕頭動脈離断術の適応基準 【気管偏位を最小にとどめるよう術式を工夫。気管軟化所見の悪化など高リスク群が適応】

No.4846 (2017年03月11日発行) P.60

河野美幸 (金沢医科大学小児外科教授)

福本弘二 (静岡県立こども病院小児外科医長)

登録日: 2017-03-09

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  • 喉頭気管分離術が適応となる重症心身障害児に対し,気管腕頭動脈瘻を防ぐために工夫した術式がいくつか報告されています。しかし,術後,体の変形の進行により気管腕頭動脈瘻が生じる危険性はあります。気管腕頭動脈瘻の危険性を予防あるいは予測する管理法や検査,および予防的腕頭動脈離断術などの適応基準などについて,静岡県立こども病院・福本弘二先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    河野美幸 金沢医科大学小児外科教授


    【回答】

    気管腕頭動脈瘻の原因として,気管カニューレによる圧迫が指摘されてきました。特に重症心身障害児では,胸部の変形があるため,気管の走行に沿って至適方向にカニューレを挿入することが困難なことも多く,圧迫が起こりやすくなることがあります。また,喉頭気管分離術では,さらに気管を皮膚まで持ち上げてきますので,気管が偏位し腕頭動脈により圧迫されることが大きな原因のひとつと考えられます。気管腕頭動脈瘻を予防するためには,気管カニューレの抜去が最も確実ですが,気管口の狭小化や気管軟化症などで抜去できない場合も多くみられます。また,気管内の乾燥を防ぐためや社会的な理由で抜去を行わないこともあります。

    発生頻度を下げるために,気管の偏位を少なくしようとすると,皮弁を用いることになります。私たちは,この偏位を最も少なくする方法として,気管後壁半周をまったく剝離せずに気管前壁を切開し,後壁は全層の切離を行わず,内腔から頭側気管を閉鎖したあとに,皮弁と気管弁で大きな気管口を形成する手術を行っています。手術に際しては,術前後でCTを撮影し,気管皮膚間の距離(LTSI)を計測し,気管腕頭動脈瘻のリスクを予測しています。

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