厚生科学審議会感染症部会の「薬剤耐性(AMR)に関する小委員会」は6日、外来で診療に携わる医療者向けの「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版(案)」を了承した。感冒には抗菌薬投与を推奨しないことを明記した。
薬剤耐性菌の蔓延が世界的問題となる中、政府は昨年「薬剤耐性対策アクションプラン」を策定した。プランでは2020年の人口1000人当たりの1日抗菌薬使用量を2013年の水準の3分の2に減少させることを目指している。
手引きはプランに基づくもので、不必要に抗菌薬が処方されていることが多いと考えられる急性気道感染症と急性下痢症を重点的に解説。疫学や診断方法・鑑別疾患、治療方法、患者・家族への説明を詳述している。
急性気道感染症のうち、鼻症状、咽頭症状、下気道症状が同時に同程度存在する病態を有するウイルス性の急性気道感染症を「感冒」と定義。感冒に抗菌薬を処方しても治癒が早くなることはなく、成人では副作用が多く発生すると報告されていることから「感冒に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する」と記載している。
急性下痢症については「水分摂取を励行した上で、基本的には対症療法のみ行うことを推奨する」と明記した。「あなたの風邪は、診察した結果、ウイルスによる『感冒』で、抗生物質が効かないタイプのようです」などと、疾患ごとに医師から患者に対する説明の例文も示している。
手引き案は、感染症部会での検討を経て、早ければ今月中に公開される予定だ。