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皮膚筋炎と抗MDA5抗体 【急速進行型間質性肺炎を合併する皮膚筋炎の標識自己抗体】

No.4851 (2017年04月15日発行) P.56

濱口儒人 (金沢大学皮膚科准教授)

登録日: 2017-04-12

最終更新日: 2018-11-27

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皮膚筋炎では以前から,典型的な皮膚症状を有するものの筋症状に乏しく,急速進行型の間質性肺炎を高率に伴い予後不良なサブセットが存在することが知られていた。近年,このサブセットの標識自己抗体として抗melanoma differentiation-associated gene 5(MDA5)抗体が同定された1)。MDA5は細胞質に存在するRNAウイルスのレセプターであるため,抗MDA5抗体はHEp-2細胞を基質とした蛍光抗体間接法で細胞質型を示す。

抗MDA5抗体陽性患者は典型的な皮疹を有することが多いが,中でも手掌にみられる逆Gottron徴候は比較的特徴的で,頻度も高い。抗MDA5抗体でみられる皮疹は,紫斑に近い紫色~紫紅色調で斑状を呈することが多い。皮膚潰瘍の頻度も高い。一般的に,筋症状は欠くかあるいは乏しいclinically amyopathic dermatomyositisのことが多いが,筋症状を有することもある。

急速進行型間質性肺炎の予後はきわめて悪く,進行した段階ではあらゆる治療に抵抗するため,早期からステロイド,シクロホスファミド,タクロリムスなどを併用した強力な免疫抑制療法により治療することが必要である。これまで抗MDA5抗体を同定するには手技の煩雑な免疫沈降法が必要であったが,2016年10月に抗MDA5抗体を同定するELISA検査試薬2)が保険承認された。今後,早期診断に役立つことが期待される。

【文献】

1) Sato S, et al:Arthritis Rheum. 2009;60(7): 2193-200.

2) Sato S, et al:PLoS One. 2016;11(4):e0154285.

【解説】

濱口儒人 金沢大学皮膚科准教授

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