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総排泄腔遺残に対する腟形成術の選択肢および特徴と適応【共通管が3cmを超えると手術難易度は上がり,二期的手術となるケースも少なくない】

No.4854 (2017年05月06日発行) P.59

福本弘二 (静岡県立こども病院小児外科医長)

矢内俊裕 (茨城県立こども病院小児外科・小児泌尿器科 部長)

登録日: 2017-05-04

最終更新日: 2017-04-28

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  • 総排泄腔遺残における腟形成については,いくつかの術式が報告されています。しかし患児によって共通管の長さや合流形態は異なり,どの術式にすべきか悩むことがあります。特に共通管が長いタイプにおける術式の選択肢,それらの適応や利点・欠点,重複腟・重複子宮がある場合の吻合などについて,茨城県立こども病院・矢内俊裕先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    福本弘二 静岡県立こども病院小児外科医長


    【回答】

    総排泄腔遺残は女児の直腸肛門奇形の特殊型で,尿道・腟・直腸が総排泄腔(共通管)に合流し,会陰部には共通管のみが開口している状態ですが,新生児期からの排尿・排便管理のほかに,将来の生殖器機能(月経血流出路障害,妊孕性,妊娠・出産)の観点から腟形成術が必要となります。共通管の長さが3cm以下のshortと3cmを超えるlongでは術式が異なり,longのほうが難易度は高くなります。

    shortでは,乳幼児期に直腸肛門形成術を施行する際,総排泄腔を会陰部から尿道・腟の合流部まで周囲より十分に剝離した後,会陰部に引き降ろして2つの開口部とする方法(total urogenital mobilization:TUM)や,共通管を尿道に利用し,総排泄腔に合流する直腸と腟を分離して肛門部と会陰部に引き降ろす方法(pull through法)などが広く採用されています。

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