褥瘡におけるポケットには,壊死組織融解性ポケットと外力性ポケットがある
ポケットの形成機序を理解し,外力性ポケットは原因となる外力を除去する
適切な方法で実施しなければ,体位変換・頭側挙上がポケットの発生原因となる
日本褥瘡学会では,褥瘡を「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下,あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる」と定義している。
褥瘡におけるポケットとは,創周囲の皮膚の下に広がる組織の破壊により生じた腔を言い,ポケット形成した褥瘡は,難治化することが多い。それは,原因となる外力を排除できていないためである。形成機序を理解し,適切な処置を行う必要がある。
褥瘡におけるポケットには,壊死組織融解性ポケットと外力性ポケットがある。壊死組織融解性ポケットは壊死組織があった部分にできた空洞で,褥瘡初期に現れる。外力性ポケットは,体位変換,身体移動,頭側挙上などの外力によって発生するポケットで,褥瘡中期・後期に現れる。外力性ポケットは外力を排除しないと治らない。
褥瘡初期に生じるポケットは,初めは表面が壊死組織に覆われているため,ポケットの存在は確認できないが,治癒過程で壊死組織が融解し排出されると壊死のあった部分が腔となりポケットになる。これは褥瘡発生時,既に骨近くの組織が壊死に陥っているため,褥瘡発生後のケアの善し悪しにかかわらず生じるポケットである。この場合,適切に壊死組織が除去され,感染制御,体圧管理が行われると比較的早期の治癒が望める。
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