【質問者】
矢内俊裕 茨城県立こども病院小児外科・小児泌尿器科 部長
CDHは,古くは出生直後の緊急手術の適応でした。1990年代に入りpreoperative stabilizationの概念,膜型人工肺,高頻度振動換気法(high frequency oscillatory ventilation:HFOV),一酸化窒素(NO)吸入療法の導入により,CDHは待機手術が一般的となりました。近年,gentle ventilation,permissive hypercapniaの呼吸管理により,生存率も改善してきています。手術に関しては,1995年に遅発型CDHに対する内視鏡手術が報告され,その後は新生児CDHに対しても主に胸腔鏡手術(thoracic repair:TR)が普及しています。
TRの適応は報告者により多様です。私たちは(1)患側上の側臥位(術中の体位)で呼吸循環動態が安定,(2)用手換気で呼吸管理が可能(手術室まで搬送可能),の2点を適応基準としています。3ポート(①第4肋間前腋窩線,②肩甲骨下端,③鎖骨中線,で①のレベル),人工気胸圧6~8mmHgで,脱出臓器を腹腔内に還納後は,可能な限り気胸圧を低下させます。直接縫合閉鎖を基本とします。外側の縫合が困難な際には,体外から針糸を通して縫合することがあります。近年ではパッチ閉鎖も施行され,再発率の改善が報告されています。
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