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労働基準監督署の病院への指導に危機感─全国自治体病院協議会・邉見会長

登録日: 2017-07-14

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全国自治体病院協議会の邉見公雄会長は12日の会見で、労働基準監督署が病院を指導した最近の事例に危機感を示し、医師の働き方に関する考え方を9月までにまとめる予定を明らかにした。

邉見氏は、労基署による指導について「医療の中に厳密に労働基準法を適用すると、少ないマンパワーで救急を担っている自治体病院が一番困る。勤務環境を改善したくても田舎には医師が来てくれないので、今の人数ではできない。一般の労働者と同じように医師を扱ったら医療がもたない」と強い危機感を表明。

その上で、「労基署がないものねだりみたいなことばかり言うのはいけないので、我々はこういうことをやっています。あなた方の言う通りにしたらこうなるけど、それでもいいですか、ということを、できるだけ早めにまとめたい」と述べ、今月新任した厚生労働省の蒲原基道事務次官、武田俊彦医政局長に提出する意向を示した。

関連して邉見氏は、厚生労働大臣直轄の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が4月にまとめた報告書で、キャリア形成や生活への支障を来たす要素が除かれれば、多くの医師が地方で勤務する可能性があり、医師のモチベーションを引き出す方策を地域が講じていくべきと指摘し、フィジシャン・アシスタントの創設やタスク・シフティングの推進などを提言してることに言及。その内容について「まるで夢物語。我々にとっては30年前の議論で、すごろくのスタート地点に戻ったかのよう。報告書をまとめた委員たちに、実際に田舎の病院を見たことがある人はいないのではないか。首都圏ボケの大馬鹿たちの結論だ」と痛烈に批判した。

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