上記の中央に穴の開いたベッドは通称「コレラベッド」と呼ばれている。穴の下にはバケツが置かれ、コレラ患者の下痢便を集め輸液治療の目安にするもので、日本国内の医療機関で見かけることはない。写真はある東南アジアの感染症病院のものだが使用感はなく、都市部では重症のコレラ患者は少なくなっている証かもしれない。
医師であれば、幾度となく下痢患者を経験しているだろうが、途上国への旅行を契機に発症する下痢を「旅行者下痢症」と呼ぶ。それがインドのデリーで起これば“Delhi belly”(デリー腹)と呼ばれることになる。
旅行者下痢症は様々な原因があるが、毒素原性大腸菌がその原因の30~60%を占めていることが知られている。患者の30%はホテルの部屋から出られず、40%は旅行の行程を変更しなければならなかったという報告もあり、日程に影響を及ぼす病気は可能な限り避けたいものである。
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