厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(座長=岩村正彦東大院法学政治学教授)が2日、初会合を開き、医師の長時間労働是正に向けた具体策について議論を開始した。年内にも中間整理を行い、2020年以降の医学部定員の取扱いの判断材料となる医師需給推計に反映する。
政府の「働き方改革実行計画」(用語解説)では、医師については罰則付き時間外労働の上限規制の対象に含めつつ、医師法に基づく応招義務などの「特殊性」を踏まえ、規制の適用は改正労働基準法の「施行5年後メド」まで猶予することとされた。医師の労働時間短縮策については、医療界が参加する検討の場を設け、2019年3月までに結論を出すことになっている。
検討会は実行計画を踏まえたもの。構成員には、日本医師会、四病院団体協議会、労働組合の代表などのほか、若手勤務医や女性医師、コメディカルも選ばれている。会合の冒頭に挨拶した塩崎恭久前厚労相は、医師から他職種への業務移管や業務分担の必要性を強調。「検討会をポジショントークの場にはしない」と述べ、本質的な議論を求めた。
初会合では、厚労省が勤務医の勤務実態に関するさまざまなデータを提示した。例えば、総務省の「2012年就業構造基本調査」によれば、1週間の労働時間がいわゆる「過労死ライン」(週60時間)を超える者の割合が最も多い業種は医師で、全体の41.8%を占めている。
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