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一部施設基準の常勤要件に「複数医師の組合せ」―小児・産婦人科、緊急対応の必要性が低い項目を対象【どうなる?診療報酬改定】

登録日: 2017-11-08

最終更新日: 2017-11-08

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中央社会保険医療協議会総会(田辺国昭会長)は8日、医療従事者の働き方をテーマに議論を行った。会合では厚生労働省が、常勤医師の配置を要件としている診療報酬項目の一部について、複数医師の組合せで算定可能とする見直し案を提示。方向性は概ね了承された。

「国民が良い医療を受けるために診療報酬で何ができるかを考えるべき」と主張する今村委員(右)

現在、医師の働き方改革を巡っては、2年後をメドに労働時間の短縮策などの具体的な規制のあり方について、結論を得るため検討が行われている。こうした状況を踏まえ、医療界からは、診療報酬における医師の常勤要件の見直しを求める声が上がっている。

8日の会合で厚労省は、常勤医師の配置を要件としている現行の診療報酬の考え方として、①緊急対応の必要性の有無、②主治医による継続的な診療の有無―などの観点から大別できると整理。緊急対応の必要性が低い項目に加え、常勤が難しい女性医師が多い小児科や産婦人科など特定領域の項目について、週に一定時間の勤務を行う複数の医師の組み合わせにより、常勤医師要件を満たすものとする案を提示。委員からは反対意見は出なかった。

■今村委員「診療報酬だけでは働き方改革に対応できない」

常勤要件の緩和を求めてきた猪口雄二委員(全日本病院協会)は、「育児中の女性医師など常勤は難しいが、専門の資格を持っている医師が必要になる」と指摘。その上で、医師だけでなく「リハビリテーションのスタッフでも多くの方が非常勤を望んでいる。若い従事者で非常勤を希望する人が働けるような環境を整備し、それを常勤換算にすることを通則とすべき」と提案した。

今村聡委員(日本医師会)は働き方改革による影響を懸念。「医師もできるだけ効率的な働き方をしていくのは当然だが、国民からのニーズに応えることも重要。労働の対価を払うことは必要だが、その影響で大病院でも救急を制限するような事態が起こっている。色々なことをやろうとすれば、すべてに費用がかかる。現在の診療報酬では対応しきれない点を主張していくべき」と訴えた。

一方、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会)は、「医師の働き方改革と診療報酬は区別すべき。働き方改革のために要件緩和するというのはおかしい。あくまで診療報酬は行われた医療行為に対し、その報酬が妥当かどうかという視点で考えるべき」と強調した。 このほか吉森俊和委員(協会けんぽ)は、要件緩和の方向性には理解を示した上で、「ICTの活用などを通じ、患者の情報や治療内容のデータが(複数医師間で)適切に共有されることを前提に負担軽減につながる配置の柔軟性を検討していくべき」との考えを示した。

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