日本医療機能評価機構は9月に医療事故情報収集等事業の第50回報告書を発表した。分析対象期間の2017年4〜6月に、心臓カテーテル検査中の患者が検査台から転落した事例が報告されたことから、報告書では類似事例について分析している。
外傷性くも膜下出血に
2012年1月〜17年6月までに報告された医療事故情報のうち転落事例は9件。内視鏡検査、頭部MRI検査、透視下での処置(胸腔ドレーンの挿入、チューブ交換)がそれぞれ2件あった。転落時期は検査や治療・処置後が4件で最も多かった。転落により、外傷性くも膜下出血など頭部に外傷をきたした事例が7件に上った。
医療者の関わりについては、室内に医療者がいなかった、室内に医療者はいたが検査・治療の準備や片付けなどのため患者を見ていなかった、患者のそばにいたが支えきれなかった―という状況だった。
転落の可能性を常に認識を
報告書では、「患者は検査台上で医療者の想定を上回る動きをすることがあるため、医療者は患者が検査台から転落する可能性が常にあることを認識する必要がある」と指摘。さらに「検査や治療・処置の際には多職種が関わるため、役割を決めて確実に患者を観察することや、患者のそばに付き添うことができるような体制をつくることが重要」と強調している。