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術前化学療法にて病理学的完全奏効(pCR)を得られなかった症例への追加療法【カペシタビンの追加投与により,有意な改善がみられた】

No.4884 (2017年12月02日発行) P.56

佐伯俊昭 (埼玉医科大学国際医療センター 包括的がんセンター乳腺腫瘍科教授)

登録日: 2017-12-01

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わが国の乳癌第3相試験グループである,JBCRG(Japan Breast Cancer Research Group)が行った早期乳癌に対して,術前化学療法原発巣手術を施行後に病理学的にがん細胞の残存が確認された症例を対象として,カペシタビンの追加効果の報告があった。

HER2陰性で術前化学療法にて遺残腫瘍が認められた910例を無作為化し,カペシタビンを追加した群と無治療群で比較した。エストロゲン受容体(ER)陽性にはホルモン療法を追加した。カペシタビンは2500mg/m2/day,po,day1〜14とした。

5年無病生存率(DFS)では,カペシタビン群74.1%,無治療群67.6%であった。副次評価である5年全生存率(OS)は,カペシタビン群89.2%,無治療群83.6%であり,統計学的に有意に改善した(HR 0.59,95%CI;0.39~0.90,P=0.01)。副作用は,カペシタビンによる手足症候群が73.4%に認められている1)

術前化学療法後のnon-pCR症例に対する,1つのオプションとしての治療法の開発である。

【文献】

1) Masuda N, et al:N Engl J Med. 2017;376(22): 2147-59.

【解説】

佐伯俊昭 埼玉医科大学国際医療センター 包括的がんセンター乳腺腫瘍科教授

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