美唄という町があります。札幌と旭川を結んだ線の上、札幌から60kmほどの所です。美唄は炭鉱の町でした。近くにはかつて炭鉱で栄えた三笠、砂川、歌志内、赤平、芦別などの町があります。明治の初めにお雇い外国人の地質学者ライマンという人が北海道の鉱脈調査を行って、あちこちに炭鉱が開かれることになりました。
美唄という地名は、アイヌ語でカラス貝(ピパ、ピバ、ビバ)の多く(オ)棲む沼(イ)を意味するそうです。昭和30年代初めには10万人ほどの人々が暮らしていましたが、その後、一部に露天掘りを残して閉山したため、現在の人口は1/4ほどです。65歳以上の老年人口は38.4%(2015年)。札幌は全国平均に近い約25%です。美唄は石狩平野の中央にあって、石狩湾からの風をまともに受けるため雪の多い所です。年間の累積降雪量は840cm、ちなみに札幌では600cm弱です。
美唄出身の彫刻家に安田 侃さんという方がおられます。作品は国内では札幌駅などにあり、丸い石の彫刻が特徴です。現代アートに縁のない私ですが、安田作品はほのぼのとした気持ちにさせてくれるところがいいと思っています。美唄には安田さんの美術館(安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄)があります。
アルテピアッツァって何かと調べてみたところ、Arteは芸術、Piazzaは広場。緑の芝が広がり、古い木造校舎(廃校になった小学校)が建っているという、とっても雰囲気のよい、ほとんど日本と思えない場所です。安田さんの作品が40点あまり展示されています。安田さんは、いつもはイタリアにおられて、ミケランジェロも使ったという大理石が産出される山の石を使って彫刻をされていて、時々、北海道に来られるのだそうです。
この美唄に先日、私の知り合いのお医者さんが関西からご家族で越してきました。彼は純然たる関西人。目下の悩みは、美唄では救急指導医の資格を維持しにくいこと、と言っていました。彼の健闘を祈っています。昨年の美唄の降雪量は例年よりだいぶ少なかったようですが、今年も少なければいいなぁ。