医療の現場では「チーム医療」という言葉がよく使われます。医療現場が抱える問題を解決するには、医師だけでなく看護師、薬剤師、栄養士や臨床工学士など多職種間連携が重要です。「チーム」を構成するのは、異なった立場で、異なった意見を持った「個」の集団です。チームを引っ張るには優秀なリーダーが必要です。では、リーダーの条件とはなんでしょうか。
昨今、リーダーに関する本が書店に溢れていますが、本を読んだからといってリーダーになれるわけではありません。また、誰もがリーダーになりたがるような組織は機能不全に陥り、壊れます。1つの事業をやり遂げるには黒子や脇役のようなフォロワーが必要です。リーダーの条件として「考えがぶれない」「統率力がある」「他人の意見をよく聴く」などが挙げられるかもしれません。
リーダーシップについて、パナソニックの創業者、松下幸之助氏が自社の管理職員の前で話された言葉が残っています。リーダーの性格として「愛嬌」「強い運」と「後姿」という、意外な3つを挙げています。理由はあえて説明されていません。
私なりに解釈しますと、「愛嬌」のある人は周りをリラックスさせるが、どこか心配で自分たちがしっかり守っていかなくては、と思わせます。「強い運」の持ち主を見ると、この人についていけば何とかなるといった安心感とともに、チャレンジする勇気が湧いてきます。また、「後ろ姿」にひかれる人物には、前例を踏襲せず、自ら道を切り開く強い行動力を感じ、次に何を行おうとしているのか、何にこだわっているのか、つい考えさせられます。
リーダーとは、周りの人すなわち、フォロワーを受け身から能動的に変えてしまう人かもしれません。ですから良い組織には、リーダーの命を待つのではなく、一人ひとりが自分の頭で考え、行動できるフォロワーが必ずいます。
また、課題により誰もが時にリーダーに押され、時にone of them のフォロワーになるような組織が理想かもしれません。