2018年度診療報酬改定について議論している中央社会保険医療協議会は19日、千葉市で公聴会を開催した。改定に係る「議論の整理(現時点の骨子)」を12日に取りまとめたことを受け、公募によって選ばれた10人の医療関係者から次期改定に関して意見聴取した。医師は千葉県医師会の2名が発言した。
開業医の佐藤孝彦氏(浦安駅前クリニック院長、千葉県医師会理事)は、かかりつけ医機能を有する医療機関の初診を評価する方針に関連して地域包括診療料に言及。「かかりつけ医機能を評価する現在の地域包括診療料や地域包括診療加算は医療機関や医師の負担が大きく算定が広がっていない」と問題視した。医療従事者の働き方改革を推進する方針については「診療所のかかりつけ医機能の負担軽減に着目した項目がない。ぜひ診療報酬で診療所のかかりつけ医を後押ししてほしい」と訴えた。
さらに再診料の引上げを要望。「2010年度改定で病院と統一することを理由に診療所の再診料が2点引き下げられた。14年度改定で消費税8%増税の補填として3点引き上がったが、(実態は)以前として2点引き下げられたままだ」と問題提起し、2点の引下げ分を元に戻す必要性を指摘。また、遠隔診療について「診療の基本は対面診療。安全性、有効性のエビデンスを積み上げるべきで、安易に診療報酬で手当てすることは問題だ」との認識を示した。
病院の立場からは川越一男氏(五井病院理事長、千葉県医副会長)が「多くの病院は公私を問わず経営危機である」と強調し、一般病棟入院基本料の評価体系の見直しについて発言。一般病棟7対1の「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合の基準値について「現在の『25%以上』を引き上げることがないよう強く要望する」と訴えた。さらに「医療安全の点数があまりに低い」と指摘。マニュアル作成など各種対策の対価として不十分との認識を示した。