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【論点】無症状の高齢者に対する大腸癌スクリーニング内視鏡検査の是非

No.4892 (2018年01月27日発行) P.20

渡邉一宏 (公立学校共済組合関東中央病院光学医療診療科部長)

湯原宏樹 (公立学校共済組合関東中央病院光学医療診療科医長)

登録日: 2018-01-25

最終更新日: 2018-04-17

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Bを選びます。日本人の平均寿命は欧米人より長く,90歳での平均余命は4〜5年であることから,少なくとも80歳までには全大腸内視鏡検査(TCS)を1回受けてもらい,TCSが受けられない,または無症状の90歳以上の超高齢者に対しては,TCS以前の便潜血検査(FIT)も勧めないという方針もありえるのではないでしょうか。一案として,我々が作成した世田谷近郊地域ローカル・ルールを提示します。

1. 背景

2012年の米国内科学会(ACP)による「大腸癌スクリーニングガイドライン」では,75歳以上または予後が10年見込めない人にはスクリーニング検査をやめるように勧告されている。一方,高齢化の進むわが国において「大腸癌スクリーニング検査は何歳まですべきか」の指標はなく,医療現場の混乱が見受けられる。わが国の大腸癌検診受診率は米国と比較して低く,大腸癌での死亡率は高い。このため,検診受診率を上げることが急務となっている1)が,わが国では国の政策として行われている年齢制限のない大腸癌検診により,超高齢の便潜血陽性者も増加し,リスクが高い二次検診としての全大腸内視鏡検査(TCS)を誰が責任を持って行うのか,が問題となっている。

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