編: | 河合 隆(東京医科大学消化器内視鏡学 主任教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 142頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2024年12月21日 |
ISBN: | 978-4-7849-1354-1 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
・ピロリ菌陰性(口腔内細菌や常在菌などへの感染を含む)胃がん・胃炎を,見落とさず,的確にスクリーニングするための最新知見と内視鏡診断のコツをまとめました。
・近年報告されている,ピロリ菌除菌後胃がんとPPI,PCAB,プロバイオティクスの関連についての最新知見や,AIを用いた内視鏡画像診断についても紹介しています。
・「ピロリ菌陰性」をどのように捉えるか,最新の考え方を身につけ,外来・検診など日々の内視鏡診療にお役立て下さい。
序章 最新の正常胃粘膜から胃がんへの進行プロセスの考え方
1 H. pylori現感染・除菌後・未感染胃がんの割合と内視鏡的特徴
1 H. pylori現感染胃がん
2 H. pylori除菌後胃がん
3 H. pylori未感染胃がん
4 IEEによる胃がん診断
2 内視鏡的胃がんリスク所見
1 H. pylori現感染胃がん
2 H. pylori除菌後胃がん
3 H. pylori未感染胃がん
3 H. pylori陰性・非H. pylori感染胃炎の内視鏡診断
1 胃炎の京都分類を用いた非H. pylori感染症の内視鏡診断
2 H. pylori除菌後に認めた非H. pylori感染胃がん
3 非H. pylori感染陽性のH. pylori未感染胃ポリープ
―胃ポリープを再考する
4 H. pylori除菌後の自己免疫性胃炎
1 自己免疫性胃炎の診断基準と内視鏡所見
2 自己免疫性胃炎とH. pylori感染
3 自己免疫性胃炎に合併する胃がんの特徴
コラム コラム1 PPI,抗菌薬,プロバイオティクスのH. pylori除菌後胃がんへの影響
1 PPI,PCABのH. pylori除菌後胃がんへの影響
2 non-Hpと除菌後胃がん
コラム2 AI診断の有用性
1983年にWarrenとMarshallがH. pyloriの分離培養に成功してから,40年が経過している。当初は,胃内に細菌が感染するはずがなく,胃がんの原因は,遺伝的要因,塩分,喫煙,加齢であり,H. pylori感染は関係ないと考える医師が多かった。その後,動物実験にてH. pylori感染により胃がんが発生することが報告され,さらに上村直実先生が,実臨床の現場においてH. pylori感染と胃がんの関係を明らかにし,NEJM誌で報告して世界が大きく変化した。WHOからも,1994年にH. pyloriは胃がんの明らかな発がん要因であるとの声明が,また2014年にH. pylori除菌は胃がん予防の1つの戦略であるとの声明が発信された。その後,わが国を含めて世界でH. pylori除菌治療が行われてきた。しかし,H. pylori除菌後10~20年経過しても除菌後胃がんの報告は続いている。また近年,細菌学の遺伝子解析が進歩することにより,H. pylori感染ばかりでなく,非H. pylori感染(口腔内細菌・常在菌)が胃がんの発生に関与することが報告されている。
本書では,H. pylori感染陰性胃がん・胃炎において,非H. pylori感染を含めた新たな考え方をまとめた。先生方の外来・検診などの内視鏡診療の一助になれば幸いである。
2024年12月
東京医科大学消化器内視鏡学 主任教授
河合 隆