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脱力の国会中継[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(193)]

No.4900 (2018年03月24日発行) P.64

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2018-03-21

最終更新日: 2018-03-19

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1時間、テレビでじっくりと国会の委員会中継を見た。初めてのことである。参議院の予算委員会で、森友学園への払い下げ問題や裁量労働制のデータ問題について、立憲民主党の福山哲郎議員が鋭く質問していた。しかし、ぐだぐだした答弁が繰り返されるばかり。そんなもの見ていて面白かったのかと聞かれると、もちろんノーである。単に、他にすることがなかったのだ。

NHKの『関西ラジオワイド』に5時20分頃から30分ほど生出演する予定で、4時半に放送局入りした。到着するなり、すみません、5時終了予定の予算委員会がむちゃくちゃ延びてるんですわ、とのこと。めったにないことらしいが、いたしかたなし。

テレビとラジオ両方で予算委員会が生中継される。野球と同じく、予定時間を過ぎたら放送延長となり、通常番組があおりを食う。というわけで、しかたなく、ラジオスタジオの調整室で、スタッフの人たちといっしょにテレビ中継を見ていたのである。

急所を突くような質問に対しては、何を言いたいのかがよくわからない答弁が繰り返される。そういう時は、速記録が止められて委員長席で相談が始まる。なんとなく、相撲の物言いに似ている。しかし、大相撲と違って、何が問題になってどういうふうに対処されたかについての説明がないので、さっぱり訳がわからない。

福山議員の持ち時間が終わったのは5時10分頃。ようやく10分遅れで番組スタート。ではなくて、もう一人の質問が。ひぇ~、もう出演時間がないとちゃうんか、と思いながら、引き続きテレビ鑑賞。

次の質問者は、官僚の方々には頑張っていただきたいとか、福山議員とうってかわって穏やかな質問。う~ん、そんなどうでもええこと、こんなに気分が急いてる時に聞かんでもええやろっ!というのは、もちろんこちらの都合でしかない。

しかし、「パラリンピックが始まりますが、その見どころは?」という最後に繰り出された質問には心底びっくりした。はぁ?完全に脱力して、担当大臣による答弁を聞く気力は残っておりませんでした。

結局、拙著『こわいもの知らずの病理学講義』についてお話ししたのは10分だけ。あまりに気の毒ということで、再度お呼びいただけるそうです。今度は国会とか高校野球のない日にしてもらおうっと。

なかののつぶやき
「はじめて、要約筆記付きの講演、話した内容が字幕みたいにスクリーンに映し出されるやつ、をしました。入力のことがありますから、ゆっくりと、できるだけ言い間違わないように話さねばなりません。その制約のせいで、恥ずかしながら最後まで調子が出ませんでしたわ。ふだん、いかに、早口でええ加減なことを言うてるかということですわなぁ。反省」

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