筆者は総合診療医です。目の前にいる患者さんがどんな主訴であっても決して断らない「何でも内科」であろうと心掛けています。一方、専門分野も特殊な技術も持たない「何にも無い科」でもあります。
何にも無い科だからこそ、問診や身体診察、簡単な検査という限られた武器をいかに活かすかを日々考えています。また専門分野が無いということは、診療範囲が常に流動的であることの裏返しです。当然、勉強しておく事柄も流動的です。日常診療では一人の患者さんあたり0.57個の疑問が臨床医には浮かぶとされますが、このような疑問を逐一きちんと調べる習慣が大切です。
ここで簡単な問診、身体診察、簡単な検査で診断に至った1例を紹介します。腎盂腎炎にて入院となった50歳男性で、不妊治療で男性ホルモンを投与した既往があります。身体診察では脊椎肋骨角(CVA)叩打痛を認めます。身長は180cm以上あり華奢な体型でした。
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