全国自治体病院協議会は12日の会見で、厚生労働省が医療界に要請した「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」を受けて行ったアンケート調査の結果を公表した。労働時間短縮を「実施できる」とした回答は52%だった。邉見公雄会長は、宿日直許可基準や応召義務を現代の病院医療の実態に合わせて見直し、医療に関する啓発・教育を強化すべきと訴えた。
調査は2月末~3月末、同協議会の会員880病院を対象に実施。246病院(28.0%)から回答を得た。
調査結果によると、医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組みを「実施できない」とした回答は全体の48%に上った。その理由としては、「2次医療圏内に救急医療を実施できる医療機関が当院以外にない」「医師数が少ない」などが挙がり、400床台の病院では「実施できない」が65%を占めた。
労働時間管理の適正化については、「実施できない」が全体の28%に上り、「在院時間と労働時間を同一視できない」などの課題が指摘された。「36協定等の自己点検」を「実施できない」としたのは全体の15%で、診療体制への影響を理由に困難とする声が寄せられた。医師を全員管理職にしている病院では、医師に36協定が適用されないとの問題も浮き彫りになった。
また、タスク・シフティング(他業種への業務移管)を「実施できない」とした回答は、99床以下では26%に上り、業務移管を進める前提として、受け皿となる職種の十分な確保が必要との課題が改めて示された。