今回は,スタッフのモチベーション向上と,人件費の適切な管理に不可欠な「賞与(ボーナス)」について,考えてみたいと思います。
賞与の発祥には諸説あるようですが,江戸時代,商人や職人が,盆や暮れに,番頭や手代に対して餅代や小遣いを渡していたことが起源とされています。明治時代になると「賞与」が支払われていた記録が残っているそうです。こういった起源もあり,一般的に夏期と冬期の2回,賞与を受け取っている方が多いため,「賞与は当然支払われるべき」と考えている方が多数派かもしれません。住宅ローンに「ボーナス払い」があるのも,賞与の支払いが当然の前提とされているからでしょう。
しかし,実は賞与を支給するか,賞与をいくらにするかという点について,法律上,何の規定もなく,当事者の任意にゆだねられています。一方で,賞与を支給する場合には,「臨時の賃金等」に該当するので就業規則に規定する必要があります(相対的必要記載事項,労働基準法第89条第4号)。また,労働契約の締結時に,賞与(臨時に支払われる賃金)についても労働条件の1つとして明示しなければなりません(労働基準法第15条第1項,労働基準法施行規則第5条第1項第5号)。
上記のような特殊性をふまえた賞与の活用法について解説したいと思います。