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乳房トモシンセシスの原理,適応,有用性【偽3次元画像データから乳房断層画像を作成するX線撮影技術。偽陰性が減少し,乳癌検出率が上昇】

No.4904 (2018年04月21日発行) P.54

東野英利子 (つくば国際ブレストクリニック顧問)

植松孝悦 (静岡県立静岡がんセンター乳腺画像診断科兼生理検査科部長)

登録日: 2018-04-18

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  • 従来の2Dマンモグラフィに加え,最近では乳房トモシンセシスを用いた3Dマンモグラフィが使われるようになってきています。乳房トモシンセシスの簡単な原理,適応,特に検診と診療で有用性が異なるか,また利点・欠点について教えて下さい。静岡県立静岡がんセンター・植松孝悦先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    東野英利子 つくば国際ブレストクリニック顧問


    【回答】

    乳房トモシンセシスのトモシンセシス(tomosynthesis)とは,トモグラフィ(tomography:断層)とギリシャ語を語源とするシンセシス(synthesis:統合・合成)との造語であり,低線量のX線を使用した多数回撮影により得た偽3次元画像データからデジタル画像処理により再構成乳房断層画像を作成する乳房X線撮影技術です。

    乳房トモシンセシスは「3Dマンモグラフィ」とも呼ばれます。CTでは360°の画像データを収集しますが,トモシンセシスでは限られた範囲(メーカーにより異なりますが,15~50°の範囲)を撮影した画像データを用いたボリュームデータから再構成画像を作成するので「偽3次元画像」と言います。再構成乳房断層画像は厚さ1mmのスライス画像まで作成することが可能です。従来の2次元(2D)マンモグラフィでは乳癌に重なる正常乳腺組織のせいで診断が不可能であった症例であっても,乳房トモシンセシスでは乳癌と正常乳腺を分離させた画像を作成することが可能であるため,乳癌検出率が上昇します。つまり,偽陰性が減少します。さらに2Dマンモグラフィでは正常乳腺が重なり合って,偽病変に見える所見を軽減または除去する効果もあり,偽陽性を減少させる効果もあります。

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