2012年秋に、海外渡航歴のない女性が急激な経過で亡くなられ、その原因がウイルス性出血熱としても過言ではないウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」によることが明らかになった。SFTS患者は主に西日本で発生し、その患者数は毎年約60~100人で、その致命率は約20%である。日本で新規ウイルス感染症の流行が確認されたのは、北海道で1993年に見つかったダニ媒介性脳炎以来のことではないかと思う。
現在、私は国内の医療機関、厚労省、製薬メーカー、研究支援機関等と協力して、SFTSに対する治療法、予防法研究に関わっている。SFTSは、新規感染症、致命率が高い、マダニ媒介性感染症という特徴を有することから注目を集め、また、私は国立感染症研究所(感染研)に務めていることもあり、流行が確認された当時、マスコミの取材を受けることが比較的多かった。
私は、大学卒業後10年間は北海道で小児科医として働いていた。その後、1997年に感染研に異動した。北海道で小児科医として働いていた当時、肝芽腫(hepatoblastoma)の患者の主治医を務めていたことがある。その子の経過は良好であった。
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