【質問者】
植松孝悦 静岡県立静岡がんセンター生理検査科・乳腺画像診断科部長
近年,術前の触診および画像診断でリンパ節転移が指摘できない乳癌に対してはセンチネルリンパ節生検(sentinel lymph node biopsy:SNB)を施行し,腋窩リンパ節郭清を省略する手法が乳癌の標準治療になりつつあるため,病期診断およびSNBの適応決定において精度の高い腋窩リンパ節評価が必要とされています。腋窩リンパ節評価を行う画像検査としては超音波,MRI,CT,FDG-PET/CTが挙げられます。これらの検査について紹介したいと思います。
腋窩リンパ節転移の所見としてはサイズの増大,皮質の肥厚(3mm以上)や皮質の限局した突出,リンパ門の脂肪織の消失,リンパ門以外の部位の異常血流の存在などが挙げられます。比較的近年の論文ではこれらのうち皮質の厚みやリンパ門の脂肪織の消失をもとにすると,超音波検査の診断能は感度94%,特異度72%と報告されています1)。また,超音波検査は主病変である乳癌の術前精査として一般化されており,この主病変の精査と同時に腋窩リンパ節の精査も行うことができるため,その利便性もふまえて最も有用な検査と思われます。
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