No.4910 (2018年06月02日発行) P.63
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2018-05-30
最終更新日: 2018-05-29
『こわいもの知らずの病理学講義』は昨年の9月19日に発刊。10月になり、新聞広告だけでなく、あちこちで書評や紹介記事も掲載してもらえた。そして、グラフにあるように、ぐいぐいと売れていった。
読売新聞は立命館アジア太平洋大学・学長の出口治明さん、週刊現代は東京大学医学部長の宮園浩平先生など、書評子は知り合いばかりというのが八百長めいているような気もするが、そこは目をつぶってください。いちばん笑ったのは、劇作家・わかぎゑふさんによる産経新聞の書評だ。
「変な人に会った」と、初めてお目にかかった飲み会の事が書き始められ、「人の良さそうな、毛の薄いオランウータンみたいな顔のおっさん」と描写してあった。
おいっ!けど、ホンマやしおもろいからまけといたる。と思いましたけど、母親はいくつになってもわが子が可愛いらしくて、これはあんまりやなぁと嘆いておりました。
毎日新聞、雑誌「クロワッサン」、大阪のMBSテレビなどの取材を受けた。「クロワッサン」で撮影してもらった写真は、えらく髪の毛が多く見えるように写っていて、一部では増毛疑惑が持たれている。そんなことしてへんっちゅうねん。
MBSは地元大阪で大人気の「ちちんぷいぷい」というワイドショーで、これも友人である西靖アナがインタビューしてくれた。
テレビの威力はすごい。その翌日、『こわいもの…』は、大阪の書店で飛ぶように売れた。そして、アマゾンでは瞬間的とはいえ『君たちはどう生きるか』に次ぐ2位にまで登り詰めた。12月のピークがそれだ。
最高のピークは、最相葉月さんが朝日新聞読書欄の「売れてる本」で紹介してくださった直後である。あこがれのノンフィクションライターに絶賛していただけて感激だ。さらには、週刊文春で池澤夏樹さんが紹介してくださった。池澤さんにお読みいただけたと思うだけで十分に嬉しい。
大阪梅田の紀伊國屋書店では、一時、話題書のコーナー2箇所と医学書のコーナーで、合わせて12面も陳列してもらっていた。本というのは、売れ始めるとこういうふうにしてさらに売れるのであります。
こわいもの知らずといいながらも、あまりのすごい売れ行きに、一時はこわくなっていた。もちろん、ありがたさが遥かに上回っておったのは言うまでもありませぬ。
なかののつぶやき
「日販の古幡瑞穂さんに調べていただいた発売後の売り上げ推移です。本文で紹介した書評などのうちいくつかはネットで読めますので、興味ある方は検索してみてください」