□聴力低下に対する緊急性は少なく,数日以内の専門医受診で対応可能なことが多い。
□耳痛,めまい等を伴う場合は対症療法を行う。
□聴力検査:標準純音聴力検査が基本であるが,救急では必須ではない。
□耳垢栓塞:耳閉感を伴う。入浴,耳掃除が契機になりやすい。
□急性外耳炎:耳痛,耳閉感を伴う。耳掻きが契機になりやすい。
□外耳道異物:「§18-3 外耳道異物」参照
□急性中耳炎:耳痛が主訴になりやすい。鼓膜の発赤または膨隆が確認できれば診断は容易である。小児,鼻炎症状,中耳炎の既往がポイントとなる。
□外傷性鼓膜穿孔:発症経緯と鼓膜所見より,診断は容易である。めまいを訴える場合は外リンパ瘻の可能性もあり注意が必要である。
□慢性中耳炎急性増悪症:膿性耳漏と陳旧性鼓膜穿孔にて,診断は容易である。
□急性感音難聴:急性発症の難聴で,耳鳴,耳閉感の訴えがあれば感音難聴を疑う。音響外傷など契機が明らかな場合もあるが,突発的に発症し,めまいを伴うことも少なくない。過去に同じ症状の既往がある場合は低音障害型であることが多い。低音障害型は20~30代女性に多く,ストレスが契機になりやすい。
□外リンパ瘻:主に頭部外傷や中耳・内耳圧力差が生じた時(力み,くしゃみ,潜水,飛行機搭乗等)に発症し,めまいや"水が流れるような"耳鳴を訴える。
□急性中耳炎に著明な耳後部腫脹や髄膜刺激症状を伴う場合,乳様突起炎または髄膜炎を疑う。治療は入院の上,髄膜炎に準じて行う。また耳鼻科にて切開排膿が必要な場合もある。
□外リンパ瘻は広義の髄液漏である。治療は入院の上1週間程度の絶対安静が必要である。この時,頭の位置を少し高くして,頭蓋内圧を上げないように注意する。
□乳様突起炎,外リンパ瘻,激しいめまいや嘔気を伴う場合を除き,帰宅可能である。
□専門的処置や標準純音聴力検査による聴力評価が必要な場合は,早期に耳鼻科を受診させる。
□炎症性疾患の場合は抗菌薬,消炎鎮痛薬内服投与,耳漏がある場合は点耳薬を投与する。
□急性感音難聴は診断確定後の治療開始でよい。治療はステロイド,ATP製剤,ビタミンB12等を内服する。
▶ 堀 進悟, 他, 編:救急レジデントマニュアル. 第5版. 相川直樹, 監. 医学書院, 2013.
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