□喫煙者には禁煙指導を行う。
□治療は,重症度や症状に応じて,作用の異なる気管支拡張薬を追加していく。
□安定期のCOPD管理について図に示す1)。同時に呼吸リハビリテーションやインフルエンザワクチン接種,全身併存症の診断と管理を行う1)。
□COPDの薬物治療の中心は,長時間作用性気管支拡張薬である。
□患者は高齢者が多いので患者に合った吸入薬(剤型,吸入器)の選択に注意し,繰り返し吸入指導を行う。
□長時間作用性抗コリン薬は,閉塞隅角緑内障や前立腺肥大症等による排尿障害のある患者には禁忌。
□必要に応じて短時間作用性抗コリン薬またはβ2刺激薬。
□長時間作用性抗コリン薬またはβ2刺激薬。
□チオトロピウムの同効薬として以下を用いる。
□インダカテロールの同効薬として以下を用いる。
□長時間作用性抗コリン薬/β2刺激薬配合薬,テオフィリン製剤の追加。
□必要に応じて非薬物療法や外科的治療を考慮する。
□中等度以上の気流閉塞を有し増悪をきたす症例には以下を用いる。
□長時間作用性抗コリン薬/β2刺激薬配合薬の同効薬として以下を用いる。
□酸素療法:安静時および体動時に低酸素血症を有する症例に対して施行。
□換気補助療法:高度のⅡ型呼吸不全を有する症例に対して施行。
□肺容量減量手術:最大限の内科的治療を施行しても効果が不十分,かつ標的部位が明確な症例に対し施行することがあるが,効果は一時的である。
□COPDの合併症として以下の疾患の合併に注意を要する。
□典型例として,上葉に気腫性変化,下葉に線維化病変を有する気腫合併肺線維症(combined pulmonary fibrosis and emphysema:CPFE)がある。
□臨床的特徴として,低酸素血症や二次性肺高血圧症をきたしやすい。
□線維化病変は病理学的に通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia:UIP)パターンをとることが多い。
□COPD患者の悪性疾患の合併頻度は,過去の報告では,約6~18%であり,65歳以上の肺癌患者では,約30%がCOPDを合併していると言われている。
□COPDの死因としては5~38%が肺癌とされている。
□COPDと喘息は合併することが多く,喘息合併COPDをasthma-COPD overlap syndrome(ACOS)と呼称する。両疾患の合併頻度は約20%である。
□ACOSは,増悪をきたしやすく,呼吸機能の経年低下が大きいため,管理に注意を要する。
□ACOSの診断は,喘息のガイドラインであるGINA(The Global Initiative for Asthma)の問診および呼吸機能を用いた診断法が簡便であるが2),診断困難例も多く,このような場合は,呼吸器専門医に紹介することが肝要である。
□ACOSの治療は,吸入ステロイドを基本薬として使用し,症状・重症度に応じて,COPD治療薬を併用する。
□90%以上のCOPD患者は喫煙歴を有するが,喫煙歴を有しないCOPD患者も存在する。
□診断確定には,X線画像検査や呼吸機能検査,心電図などにより,気流閉塞をきたす他疾患(喘息,びまん性汎細気管支炎,先天性副鼻腔気管支症候群,閉塞性細気管支炎,気管支拡張症,リンパ脈管筋腫症,うっ血性心不全等)を除外する必要がある。
□一方で,気道可逆性の大きいCOPD,可逆性の乏しい難治性喘息,COPDと喘息が併存している症例では,喘息との鑑別は困難である。
□高齢者では,吸入薬の理解,吸入手技が不良な患者が多く,繰り返し吸入指導を行うことが肝要である。
□吸入薬の投与が困難な患者では,ホクナリン®テープ(2mg,貼付型β2刺激薬) 1枚1日1回貼付が有用である。
□増悪は,COPD患者のQOLを著しく障害し,自然経過および予後を悪化させる。増悪が軽症であっても,速やかに医療機関を受診させる必要がある。
□重症例は入院が必要となるため,増悪時の病診連携の構築が重要である。
□増悪の多くは,感染が契機で生じることが知られており,増悪を防ぐために,感染予防(手洗い,うがい)やワクチン接種を励行する。
□酸素療法や換気補助療法施行中の患者では,機器の適正な使用法や管理が重要である。
1) 日本呼吸器学会COPDガイドライン第4版作成委員会:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版. メディカルレビュー社, 2013.
2) GINA Guideline May 2014 updated, Chapter 5. Diagnosis of asthma, COPD and asthma-COPD overlap syndrome.
[http://www.ginasthma.org/documents/14]
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