□びまん性汎細気管支炎は両側肺にびまん性に拡がる呼吸細気管支領域の慢性炎症を特徴とし,多くの症例で慢性副鼻腔炎を合併する副鼻腔気管支症候群の1つである。
□発症に男女差はなく,40~50歳代をピークに各年齢層にみられる。日本など東アジアに多いが,近年わが国では患者は減少している。
□慢性の湿性咳嗽を主症状とする。
□慢性副鼻腔炎を合併することが多く,鼻閉感や後鼻漏などの症状を有する。
□進行すると慢性の労作時呼吸困難を呈する。
□表に診断基準を示す。診断基準の臨床症状の有無や検査所見によって診断する。
□胸部聴診ではcoarse cracklesやrhonchiを聴取する。
□胸部X線写真では両側中~下肺野に多い粒状影や肺の過膨張所見を認める。
□胸部CTでは小葉中心性の粒状影,気管支壁の肥厚や進行すると気管支拡張所見を認める。
□呼吸機能検査上,1秒率の低下を認め,動脈血ガス分析では低酸素血症を認める。
□血液検査においては寒冷凝集素価が高値となる。また末梢血中の白血球数やCRP値の軽度上昇を認める。
□喀痰の微生物検査では初期にはインフルエンザ菌や肺炎球菌などの気道感染症を合併することが多いが,進行すると緑膿菌の慢性気道感染症となる。
□病理所見としては呼吸細気管支領域にリンパ球や形質細胞の浸潤とともに泡沫細胞の集簇を認め,中枢気道には慢性の好中球性炎症を認める。
□関節リウマチなどに合併する細気管支炎,非結核性抗酸菌症,閉塞性細気管支炎や嚢胞性線維症などが鑑別疾患となる。
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