□いかなる薬剤でも生じうる。
□様々な発症様式を有し,多彩な画像所見を呈する。
□治療成績も一定しないため,各薬剤のガイドラインも参照する必要がある。
□薬剤性肺炎の症状として重要なものは,息切れ・呼吸困難,乾性咳嗽,胸痛(胸膜炎,胸水貯留),喘鳴(気道病変),血痰(肺胞出血)である。自覚症状は薬剤性肺炎を診断する過程で重要である。
□病歴聴取:自覚症状の出現時期,原因として疑われる薬剤開始や変更の時期,薬剤の摂取量,期間と臨床症状との関連を聴取する。
□身体診察:バイタルサイン,経皮的動脈血酸素飽和度,視診,触診にて皮疹,口腔内粘膜診,表在リンパ節腫大を診る。胸部聴診では呼吸音の左右差やラ音(特に捻髪音)の有無,気道病変の有無を深吸気,強制呼気にて確認する。
□血液検査は非特異的な炎症反応,組織障害,アレルギー反応に関する検査として,末梢血好酸球数, 赤血球沈降反応,C反応性蛋白(CRP),乳酸脱水素酵素(LDH)など。
□間質性肺炎のマーカーとしてKL-6,SP-A,SP-Dがあり,KL-6が感度・特異度に特に優れている(感度93.9%,特異度96.3%)。
□薬剤性肺炎の薬剤リンパ球刺激試験(drug lymphocyte stimulation test:DLST)の陽性率は,全体の66.9%と報告されている。
□胸部画像所見〔X線写真,高分解能CT(high-resolution CT:HRCT)〕はDAD(diffuse alveolar damage)型肺炎の診断に有用である。薬剤性DADにおいても,広範な浸潤影や,すりガラス様陰影に牽引性気管支拡張などの構造改変所見がみられる。
□気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)のみで薬剤性肺炎の確定診断はできないが,感染の除外など鑑別に有用である。
□肺病理組織所見:薬剤性肺炎に特異的な病理組織像はなく,多彩な組織像を呈する。病理所見が得られず,経過,画像,検査所見から,臨床的に診断されることも多いが,逆に病理像から薬剤性肺炎を疑う症例も存在することから,その病理学的特徴を理解することは診断のために重要である。組織パターンの認識と,好酸球浸潤や異型上皮細胞の出現,組織パターンの混在など,薬剤性肺炎を示唆する所見を得ることができる。
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