□間質性肺炎は様々な原因によって引き起こされた胞隔炎と線維化を特徴とする疾患群である。臨床,画像,病理所見を総合して診断する。
□間質性肺炎のうち原因不明のものを特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias:IIPs)と呼ぶ(表)。
□特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)はIIPsの約半数を占めるが,確定診断からの平均生存期間は3~4年とされている予後不良の疾患である。
□非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia:NSIP)は,組織学的にほかのIIPsに分類不能な間質性肺炎が存在することを背景に,Katzensteinらが1994年に提唱した臨床病理学的疾患概念であり,fibrotic(fNSIP)とcellular(cNSIP)に分類される1)2)。
□IPF,fNSIPともに疾患特異的な症状はなく,咳嗽,労作時呼吸困難を主症状とする。
□胸痛,喘鳴,喀血,血痰は稀である。
□IPF,fNSIPの約30%の患者にばち状指,低酸素血症が進行すればチアノーゼを呈する。聴診にて吸気終末,背側下部優位にfine cracklesを聴取する。
□画像,病理,臨床による総合的な診断が必要である。
□IPFは高分解能CTにて胸膜直下の陰影分布や蜂巣肺(honeycombing)の存在が認められれば臨床的に診断が可能である。
□典型的なIPFの画像所見を呈さず,すりガラス陰影や浸潤影が目立ち,胸膜直下にとどまらない網状影があればfNSIPを疑うが,確定診断には,外科的肺生検が必要である。
□血液検査において,血清KL-6,SP-D,SP-Aは病勢推移のマーカーとして有用である。
□肺機能検査では,%VC,%DLcoが低下し,拘束性障害を呈する。動脈血液ガスでは,PaO2低下,A-aDO2開大を呈する。6分間歩行時SpO2低下を認める3)。
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