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吸収不良症候群(原発性:セリアックスプルー,乳糖不耐症)[私の治療]

No.5281 (2025年07月12日発行) P.37

横山佳浩 (札幌医科大学附属病院消化器内科)

仲瀬裕志 (札幌医科大学附属病院消化器内科教授)

登録日: 2025-07-12

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  • 吸収不良症候群とは消化管の吸収機能低下により,体内の様々な栄養素が欠乏することで下痢,体重減少,全身倦怠感,浮腫などの多彩な症状をきたす疾患の総称である。本稿ではその中でもセリアックスプルーと乳糖不耐症について解説する。
    セリアックスプルーは小麦などに含まれるグルテンにより小腸に慢性炎症を起こす自己免疫疾患である。日本における有病率は0.05%と稀な疾患とされている。乳糖不耐症は乳糖をグルコースとガラクトースに分解するラクターゼの活性低下によって下痢をきたし,さらに乳糖が大腸に移行,腸内細菌によって発酵し,ガスが生じて腹部膨満や腹痛を起こす。LCT遺伝子異常によって発症し,発育不良を引き起こす先天性乳糖不耐症と,離乳後にラクターゼが減少することや感染性腸炎などで発症する二次性乳糖不耐症にわけられる。

    ▶診断のポイント

    【セリアックスプルー】

    下痢,腹痛,腹部膨満感,体重減少,貧血など症状は多彩であるが,過敏性腸症候群と診断されている症例も潜在しうることに注意が必要である。診断には,血液検査では抗組織トランスグルタミナーゼIgA抗体や抗エンドミシアルIgA抗体を用いる。上部消化管内視鏡検査では十二指腸に粗糙粘膜や小顆粒状隆起,溝状の陥凹などの粘膜変化がみられる。十二指腸生検においては上皮内リンパ球(intraepithelial lymphocytes:IEL)や絨毛の萎縮がみられる。また,遺伝的要因としてヒト白血球抗原(human leukocyte antigen:HLA)-DQ2,HLA-DQ8も診断の参考になる。

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