□じん肺症はじん肺法により「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」と定義されており,各種の無機粉じんを長年にわたって吸入し,異物反応性のびまん性肺線維症が生じた病態である。
□じん肺の起因物質と疾患分類は多岐にわたるが(表)1),代表的な疾患として,結晶性遊離珪酸(シリカ・石英)の吸入により生じる珪肺,繊維性珪酸塩であるアスベスト(石綿)の吸入により生じるアスベスト肺などがある。
□早期には無症状であるが,進行すると咳嗽,喀痰,労作時呼吸困難などの症状を呈する。全身倦怠感,体重減少などを伴うこともある。
□身体所見では,進行症例において胸部聴診でfine cracklesを聴取する。
□血液検査では特異的なものはなく,広汎に線維化の進行した症例ではKL-6,SP-Dなどが上昇する。
□呼吸機能検査では肺活量や全肺気量の低下を認め,拘束性換気障害を呈する。また,肺拡散能の低下もみられる。
□珪肺の特徴的な画像所見は,両側上中肺野の背側優位に分布する境界鮮明な粒状影である。粒状影は経過中に融合して塊状影 (大陰影)を呈することがある。また,5~10%の例では両側肺門リンパ節の卵殻状石灰化がみられる。
□アスベスト肺では,胸部X線にて両側下肺野外側優位の線状・網状陰影を認め,進行すると肺容積が減少する。胸部CTでは粒状・線状影を認め,胸膜直下や細気管支領域に線維化が強く,胸膜の肥厚と石灰化 (胸膜プラーク)を伴うことが多い。
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