□原発性肺胞低換気症候群は,primary alveolar hypoventilation,idiopathic central alveolar hypoventilationと言われている病態である。次のAとBが満たされたときに診断が下される。
A.睡眠に関連して低換気がみられる。
B.低換気は肺実質や気道障害,肺血管病変,胸郭異常,薬剤,神経疾患,筋力低下,肥満,または先天性肺胞低換気症候群(congenital central alveolar hypo-ventilation syndrome)が主要な病態ではない。
□厚生労働省の研究班からも表の診断基準が出されている1)が,基本的にはほぼ同じ診断基準となっている。また,厚生労働省の指定難病230の「肺胞低換気症候群」を構成する1病態である。
□睡眠中の低換気がひどくなるので,症状としては,不眠傾向や中途覚醒などの重度の睡眠障害,早朝覚醒時の頭痛などがある。また,日中の眠気(過眠),認知障害などが現れることがある。
□病状が進行すればⅡ型呼吸不全が進行し,右心不全の徴候(呼吸困難,全身の浮腫など),肺高血圧,多血症が出現してくる。それ以外に日中活動性低下に伴う諸症状を伴う。
□睡眠中に低換気がみられる。低換気はrapid eye movements(REM)睡眠中に高度になる。
□覚醒中に低換気(PaCO2値が45Torrを超える)を示す人では夜間の低換気は一般的により高度になっている。
□睡眠中の低換気についてはPaCO2またはそれに代用する測定系の値が55mmHgを10分以上超えるか,睡眠中に覚醒臥位の値に比較して10mmHg以上上昇し,さらに50mmHg以上が10分以上存在する場合とされている。
□原因として呼吸調節系の異常が最も考えられるが,高炭酸ガス換気応答検査が可能である施設は行うほうがよい。
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